沿線まるごとホテル
東京の端っこは、
地方創生の最前線。
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地域に溶け込むような、
この土地ならではの体験を。
無人駅でチェックイン。沿線そのものをホテルに見立てて。
新宿から、電車でおよそ90分。東京の一番端っこ。JR青梅線の青梅駅から奥多摩駅まで13駅の沿線エリア全体を、一つのホテルに見立てた観光開発プロジェクトが「沿線まるごとホテル」です。青梅線の列車はエレベーター、沿線の駅はホテルの各フロア、降りた無人駅はホテルのフロント、地域の古民家はホテルの客室、地元住民はホテルのキャスト、集落の道はホテルの廊下…といったように、沿線をひとつなぎに捉えることで、青梅・奥多摩の魅力を一気通貫で楽しめる環境をつくっています。
沿線に点在する観光資源を、アクセスしやすく整える。
プロジェクト名にもなっている「沿線まるごと」の考え方は、魅力豊かな奥多摩地域だからこその「既にあるものを活かそう」という想いから。地元住民が集落をガイドする「沿線ホッピング」や、200年以上前からの奥多摩名産ワサビの「ワサビ田見学・体験」、奥多摩の清流で酒を造る「澤乃井」の酒蔵見学、ヒノキなどの樹木が香る山道を散策する「森林セラピー」、二俣尾の川での「SUP」など、沿線には地域の営みに触れられる体験が、豊富に存在しています。これらの観光資源をアクセスしやすく整え「沿線をまるごと楽しめる環境」をつくることで、訪れる人が地元に自然と溶け込むような滞在を実現しているのです。
また、こうした「地元に溶け込む滞在」を提供できるのは、自然とくらしが調和している青梅・奥多摩だからこそ。地域の人々との出会いは、「また来たい」「また会いたい」と思っていただくことにもつながるはずです。このように、地元住民との関係を育むきっかけを提供することで青梅・奥多摩のファンを増やす。またそうすることで、一度の来訪で終わることなく、100人が100回継続的に訪れるようにする。そんな持続可能なまちづくりを、このプロジェクトでは大切にしています。
たとえ過疎地でも。
くらしを守るための挑戦。
事業化を目指し、パートナーと二人三脚で。
青梅市の西側と奥多摩町にあたるこの地域は、急速な人口減少が進んでいることから、東京都でありながらも「消滅可能性自治体」と位置づけられています。これに伴い、JR東日本が運行する路線でも乗降客数が減少し、鉄道インフラの維持が難しくなりつつありました。
そこでJR東日本は、沿線の活性化に向けた取組みを展開。2018年には青梅駅~奥多摩駅間を「東京アドベンチャーライン」と命名し、観光路線として再定義するなど、持続可能な集客方法を模索していきました。そうした取組みの中で、地方創生に向き合う事業会社「さとゆめ」と出会ったことをきっかけに、地域資源を活かした事業開発がスタート。2年ほどの構想を経て、2020年には「JR東日本グループの「JR東日本スタートアップ株式会社」が展開する新規事業推進プログラムです。ベンチャー企業や様々なアイデアを有する方々から、駅や鉄道、グループ事業の経営資源や情報資産を活用したビジネス・サービスの提案を募り、優れたアイデアの実現に向けてサポートを行います。 」に応募し、約250件の提案の中から「沿線まるごとホテル」が共創事業として採択され、実際の事業としての活動が始まっていきました。
地域に根ざして活動するため。無人駅に関連会社を設立。
事業化に向けては、地元住民や地域の事業者との密な連携や、小回りのいいアクションが必要でした。しかしJR東日本という規模の大きな会社では、どうしても社内稟議などに時間を要してしまいます。そこで私たちは、青梅線の「鳩ノ巣駅」という無人駅の駅舎内に「沿線まるごと株式会社」という事業会社を設立。地元に拠点を置いて、町内会に参加したり、集落の自治会に毎晩通ったりと、対企業ではなく地元の個人と向き合うような活動を重ねていきました。
基本的には沿線まるごと株式会社がツーリズムの事業主を務め、JR東日本はそのサポートを行うような編成で事業を進めています。一方で、八王子支社に所属しながら沿線まるごと株式会社の取締役を務めている社員や、八王子支社から週3ほど通っている社員、八王子支社から出向している社員がいるように、JR東日本に所属している社員が中心となって、運営をしています。
里の物語を、
受け継いでいく場所。
木材が集まる場所から、人々が集まる場所へ。
2020年ごろからは、年1~2回のペースで実際にツーリズムを提供する実証実験を重ねていきました。ところが、実証実験の開始とほぼ同時に新型コロナが流行。当時は「白丸駅」という1日の乗降数が非常に少ない駅をチェックインフロントにしていたため、現場からは「これはお客さんも来てくれないだろうな…」と不安の声もありました。しかし蓋を開けてみると、ちょうど「新型コロナ感染防止の観点で広まった、自宅から短時間で移動できる範囲で行う旅行のスタイルです。地域の魅力の再発見・地域経済に貢献することを特徴としています。 」という時流に偶然マッチし、100%の稼働率を達成することができました。
稼働率を実証できたこともあり、2024年5月には沿線まるごとホテルの中核施設「Satologue」のレストラン・サウナを先行して開業。2025年5月にはその宿泊棟も開業しました。Satologueの敷地周辺は、かつて奥多摩が林業で栄えた時代、伐採した木材を集積する「土場」という場所でした。そのため美しい緑の中に位置し、すぐ近くには多摩川の清流もあります。視察時は「奥多摩らしい場所だね」「奥多摩の歴史・物語を語り継いでいくのにぴったりの場所だね」という言葉が次々と上がっていました。とはいえ改装前の古民家は、受け渡していただいた当時、廃屋のような状況。八王子支社から社員が集まって草刈りをしたりと、地道なところから開発を進めていきました。
当初はレストラン、サウナ、ホテルを同時に開業する予定でしたが、古民家のため工事に着手してみると想定以上に傷んでいる部分があったり、工事費が高騰したりと、工期が遅れてしまいました。プレスリリースで開業日を告知していたため、開業自体を先延ばしにすることは出来ません。そのため、レストランとサウナを先行開業したのですが、それが思わぬ好機につながりました。レストランやサウナの利用を通じて、ホテルの開業に先立ってSatologueのコンセプトや魅力を認知していただけたのです。結果、決してリーズナブルなホテルではないにもかかわらず、オープン以降こうして国内外から多くのお客さまにご利用いただくことが出来ています。
土地に根ざす魅力を、再発見する。
当時Satologueの開業に向けて、さとゆめ経由で知り合ったクリエイティブディレクターとともに「沿線まるごと」の考え方を深める内に、「スタッフやシェフにも、地元に根ざして活動していただきたい」という方針が生まれました。そこで、都内のレストランに行き「いいシェフを紹介してください」と、飛び込みで頼んだのです。実際に奥多摩に居を構えてうちの施設に加わってほしいと、とにかく何度も伝えて。どうにか2名のシェフに所属していただくことができました。Satologueでは「地域の風土、歴史、文化を料理で表現する「ローカルガストロノミー」という考え方のように、沿線地域の風土、歴史、文化を料理で表現することを意味する造語が「沿線ガストロノミー」です。 」という言葉を掲げて、地元食材を活かした料理の提供に力をいれています。料理を企画する際には、シェフとはいえ遠慮なくダメ出しもしながら、納得できるものをつくり上げていきました。Satologue内には畑や、小さなワサビ田があるのですが、チェックイン後のお庭さんぽでは収穫体験ができ、夜にはそれを使った料理が食べられる、といった体験も楽しんでいただけます。
シェフのみならずスタッフも、Satologueの開業に合わせて移住していただきました。奥多摩町という自治体視点で考えると、若い人たちが移住をしてきてくれたということ。Satologueの開業によって雇用を生み出し、過疎地に住人を増やすことができたのは一つの成果かもしれません。「この場所が好きなんです。星も綺麗だし。休日も Satologueに来てしまうくらい」と語るスタッフもいます。若い人が楽しそうに働いている姿に、地元の方々も喜んでくださっています。地元のおかあさんが、自身の畑で採れた野菜を持ち込んでくださることも。Satologueの活動を通じて、地元とは一層よい関係を築いています。
当然ながらSatologueは、食のみならず、自然を楽しめる場所でもあります。敷地内にあった倉庫はサウナに改装。木陰の下で、川のせせらぎと、風の音、そしてカワセミをはじめとする鳥の鳴き声を聞きながら、寝転がることができます。奥多摩を全身で楽しめる、唯一無二の整い場です。お客さまからも神秘的だという声を多くいただいています。
「Satologue」という名称は「里の物語/里との対話」などといった意味の造語です。私たちJR東日本も、住民の皆さんも、この取組みや里の魅力について胸を張って語れるような場所にするという想いを込めて名付けています。地元の方にとっては当たり前の自然でも、サウナをつくるだけで人を呼び寄せる魅力になるように、「魅力を再発見し、発信する」というのも、私たちの仕事なのです。
地方創生の
ジャパンモデルへ。
「誇り」を持っていただくお手伝い。
最近は賞をいただいたり、メディアに取り上げていただいたりと活動を評価していただく機会も増え、少しずつ青梅・奥多摩の知名度も向上しています。またリピートのお客さまや、Googleマップを見て訪ねてくれる海外のお客さまがいらっしゃったりと、プロジェクト以前よりも地域には活気が生まれています。地域の人々に「奥多摩に対する誇り」をより一層持っていただくお手伝いが、私たちJR東日本としての使命でもあるのです。
従来、鉄道業界で「無人駅」という言葉はNGワードでした。しかし沿線まるごとホテルをきっかけに、「無人駅で〇〇体験」といった形で「無人駅」が魅力的な言葉として使用されるケースも散見されるようになっています。「秘境感」「地元の駅の価値」などが見直されているようで、全国各地の過疎地に「過疎は価値になりえる」ということを少しずつ伝えられているのかもしれません。
今後は、この奥多摩地域にまだ多く存在する空き家を活かして、新しい拠点を増やすことで収益を高めながら、沿線の体験をより充実させていきたいと考えています。また日本では多くの地域で過疎・高齢化が課題となっている中で、「沿線まるごとホテル」を奥多摩地域だけでなく、地方創生のジャパンモデルとして全国に広げていきたいとも考えています。もちろん、こうしたモデルが全国でそのまま適用できるとは考えていません。大切なのは、地域の特性を見極めて、光を強く当てていくこと、地域ごとの価値を強めていくことだと考えています。最近では、千葉県にある房総半島の東京湾側と内陸部を結ぶ「久留里線」の沿線でも新たな実証実験を行いました。青梅線や久留里線、そして次なる地域でもこのプロジェクトを展開していくために、私たちは少しずつ新たな沿線に足を運び続けています。
PROJECT STORY その他のプロジェクトストーリー
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カーボンニュートラルカーボンニュートラル