カーボンニュートラル

自然と伴走して目指していく、
カーボンニュートラル

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ジョブ型

エネルギー開発と脱炭素。
両輪で進むクリーンな未来。

近年、地球規模での気候変動が続く中、世界各国で叫ばれている「カーボンニュートラル」。私たちJR東日本グループにおいても「ゼロカーボン・チャレンジ 2050」を掲げ、2050年度のCO₂排出量「実質ゼロ」を目標にしています。また、2030年度までのCO₂排出量削減目標を2013年度比▲50%に設定し、特に東北エリアでは、2030年度までに電車運行に伴うCO₂排出量「実質ゼロ」を目指してクリーンエネルギーの活用を強化しています。

「鉄道」の軌跡は、「エネルギー」の軌跡。

「鉄道」と「エネルギー」の関係は、19世紀の産業革命期にまで遡ります。世界で初めて客貨両用鉄道が走ったのは1825年、イギリス・リヴァプール。石炭の煙を吐きながら大地を駆け抜ける蒸気機関車は、まさに「エネルギー革命」の象徴となりました。それから約50年の歳月を経て、日本においても石炭を燃料にした蒸気機関車が新橋(東京)〜横浜間を走り始めます。しかし、石炭はCO₂を多く排出することから、その後は石油を燃料とした「ディーゼル機関車」が開発されました。さらに20世紀には、多くの国で電化した鉄道「電車」が普及。特に電車はエネルギー効率が高く、国鉄時代から今日に至るまで各地の鉄道路線を走り続けています。こうして時代を振り返ってみると「鉄道の軌跡」とは「エネルギーの軌跡」を辿る物語でもあるのです。

世界初の営利鉄道、リヴァプール・マンチェスター鉄道

カーボンニュートラル達成への道のり。

鉄道は運輸部門において輸送量当たりのCO₂排出量が相対的に小さく、環境にやさしい輸送機関ですが、一方で多量のエネルギーを消費する事業でもあります。将来にわたり、選ばれる交通機関であり続けるために、鉄道の環境優位性を向上させる必要があります。

そこで2022年、カーボンニュートラルの達成に向けて「エネルギービジョン2027〜つなぐ〜」を策定しました。エネルギーを「つくる」「送る・ためる」「使う」の3フェーズに分けて環境負荷の低減を図ることで、2013年時点で215万tあったCO₂排出量を、2030年までに約半分の108万tにまで削減。2050年には実質ゼロを目指しています。中でも「つくる」のフェーズにあたる「再生可能エネルギーの拡大」と、「川崎火力発電所の脱炭素化」は、今後のカーボンニュートラル達成における大きな鍵となっています。

2022年度 輸送量当たりのCO₂排出量(旅客)
CO₂ 排出量削減目標

自然を味方につける、
再生可能エネルギー。

下浜風力発電所

遊休地の価値を再発見した
「JR秋田下浜風力発電所」

2011年に発生した東日本大震災では、東日本各地で「電力供給不足」という大きな問題に直面しました。このエネルギー問題を契機に、JR東日本においても風力発電や太陽光発電、バイオマス発電といった「再生可能エネルギー」への取り組みが加速していきます。
 その取り組みの一つとして誕生したのが、2016年に秋田県秋田市で運転が開始された「下浜風力発電所」です。本来、風力発電を導入するには用地を購入、もしくは借りるところから始まります。ですが、この下浜風力発電所においては、元々JR東日本が所有していたJR羽越本線沿線の「鉄道林」を利活用する形で導入が行われました。「鉄道林」とはその名の通り、鉄道に沿って植えられた林のこと。かつては防風林としての役目を担っていたほか、海外沿いの飛砂から蒸気機関車を守る役割や、蒸気機関車の燃料となる木材を提供する役目を果たしており、鉄道にとって心強い存在でした。しかし、時代が進むにつれて鉄道は電化し、飛砂による故障リスクや木材の需要が大幅に減少。鉄道林は次第にその役割を終え、その多くが遊休地として放置されるようになったのです。そこで、これまで蒸気機関車を支えるために存在していた自社の土地を、今度は未来を支えるクリーンエネルギーを開発するための土地として価値転換したのが、この下浜風力発電所でした。

かつて鉄道林のあったJR羽越本線沿線

当時、JR東日本にとって風力発電事業は何もかもが初めての挑戦。自社の所有する用地といえども、導入に至るまでの法令手続きや開発設計には数々のハードルが立ちはだかりました。一般的なビルで例えると約15階に相当する約40m以上の風力ブレード。これを横に倒しながら一般公道で運搬するには、道路法に基づく厳正な手続きと運搬方法が必要です。その他にも電気事業法、海岸法、景観法、電波法、航空法などといった細かな手続きに追われ、経済産業省に膨大な申請書類を提出するも、大量の付箋とともに返却される日々が続きました。それでも、JR東日本が長年培ってきた電気や土木技術をベースに、外部パートナーと緻密に意見交換をしながら知見を融合させ、プロジェクト発足から5年後、満を持して下浜風力発電所が完成。道なき道を踏破するように、JR東日本の再生可能エネルギー事業における新たな景色を切り拓いたプロジェクトとなったのです。

再生可能エネルギーを牽引する
「西目西ノ沢風力発電所」

その後、JR東日本の所有する遊休地以外においても再生可能エネルギーを拡大するべく、エネルギー開発を専門とした「JR東日本エネルギー開発株式会社」を2015年に設立。2022年に秋田県由利本荘市において竣工した「西目西ノ沢風力発電所」は、1基あたりの発電出力4.3MWの風車が2基あり、国内最大規模の発電量を誇っています※。一般家庭の使用する電力量に置き換えると約5,000世帯分にも相当するパワーの源は、日本海側の山の上という風通し良好な立地と、その風を受け止める機体の大きさにあります。全高140m以上、ブレードひとつ当たり約60mにも及ぶ西目西ノ沢風力発電所は、日本海側から強く吹く風を広い範囲で受け止めて発電します。さらには、これまで一般的だった「増速機」の搭載に替わり、「ダイレクトドライブ」と呼ばれる、受けた風をそのまま電力へと変換できる技術を採用。機材が少なくなった分、故障頻度の低減や、メンテナンスの効率化にも大きく寄与しながら、東北エリアに多くのクリーンな電力を供給しています。

※2024年9月時点。

西目西ノ沢風力発電所

2024年、秋田県内の風力発電所由来の電気を東北本部ビルへ供給することに加え、風力発電で賄えない日中の電力を、地元企業である東北電力グループの水力発電所と連携することで「東北本部ビルの再エネ100%化」を達成しました。また、風力発電は太陽光発電と異なり、風況により夜間も発電されるため、夜間に発電された電力を無駄にしないよう、仙台駅・福島駅の施設電力に活用しています。このように、クリーンなエネルギーを地域に還元するだけではなく、自社の持つビルや交通インフラに広く循環させる仕組みは、JR東日本ならではの環境貢献の在り方です。

ガスから水素へ。
火力発電の脱炭素化。

川崎火力発電所

CO₂排出量実質ゼロを目指す「川崎火力発電所」

JR東日本のエネルギーを語るには欠かせないもうひとつの要素が、神奈川県川崎市にある「川崎火力発電所」です。本発電所は鉄道省時代の1930年、首都圏エリアを電化する目的で建設され、国有鉄道自営の発電所として運用が続いたのち、国鉄民営化においてJR東日本に継承されました。

国内の鉄道会社が大規模発電所を運用しているのは、JR東日本のみです。2011年の東日本大震災では、各地で計画停電が行われる中、川崎火力発電所を通常稼働させ、首都圏の電車や駅といった交通インフラへ安定的に電力を供給することができました。有事に限らず、輸送サービスにおける首都圏電力使用量のうち、約80%を自営電力で発電しており、首都圏の鉄道インフラを安定的に支える中核的な役割を担っていると言っても過言ではありません。しかし、その貢献度の大きさに比例して、CO₂を多く排出していることも事実です。そこで川崎火力発電所では、全4機あるうち3機の燃料を天然ガスに刷新。1号機の燃料を灯油から天然ガスに変更を行った2021年には、CO₂排出係数が約40%低減されました。現在は、2050年のカーボンニュートラル達成に向けて、天然ガスと水素を混ぜ合わせて燃焼させる「水素混焼発電」を検討している段階にあります。水素は燃焼してもCO₂が排出されない気体のため、環境負荷の低減に大きく寄与することが期待されており、将来的には「水素専焼発電」など新しい技術を活用しつつ、川崎火力発電所のCO₂排出量ゼロを目指しています。これらの取り組みはまだ開発段階にあり、繊細な気体である水素をどのように安定的に供給するのか、そして実際に燃焼させる設備をどのように取り入れていくのか、まだまだ課題は山積みです。しかしながら、この技術を実現することでカーボンニュートラルの未来へと大きく近づくのは間違いありません。

3Eを高めながら、
「地域社会の発展」へ。

JR東日本グループの掲げる「エネルギービジョン2027 つなぐ」では、電気を「つくる」「送る・ためる」「使う」のすべてのフェーズで、エネルギーの3E(環境性、経済性、安定性)を向上し、地域社会の発展につなげていくことを使命としています。再生可能エネルギーのさらなる拡大や、川崎火力発電所の脱炭素化に向けてまだまだ乗り越えるべき課題は残されていますが、これから入社される皆さんとともに、安心して暮らせる環境を次世代につなげていきたいと考えています。カーボンニュートラルに対するJR東日本の取り組みが、「エネルギー」と「くらし」、そして「地球」をつなぐ新たな物語となることを信じて、今日も邁進しています。

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