6次産業化

地方創生を、
産業から始める。

関連事業

  • 輸送サービス
  • 生活サービス

関連職種

総合職

  • 鉄道事業・生活サービス事業・Suica事業に関わるビジネス戦略
  • IT・デジタル戦略

エリア職

  • 駅・乗務員

ジョブ型

  • データマーケティング

さまざまな課題を、
さまざまなメンバーで。

お困りごと解決のための、1、2、3。

自然から資源をいただく仕事を、1次産業といいます。製造が関わると2次産業、小売は3次産業で、それらをつなげて新たな価値を生み出す「6次産業化」が、JR東日本における地方創生の柱のひとつです。きっかけは2009年に発足した「地域再発見プロジェクト」。地方と都市の交流創出を目的に、地産品や地域情報といった地域の魅力を首都圏で発信する駅構内の催事イベント「産直市」、地産品の常設販売ショップ「のもの」などを通して、販売・PRといった3次産業に着手していました。3次産業における取組みを通じて、地域のプロダクトと都市ユーザーのニーズとのギャップに気づき、地産品のリブランディングを中心に2次産業へ発展。すると次は、地産品をつくり上げる「原材料」に関する1次産業の難しさを目の当たりにしました。これらの課題から、地域産業の問題を切り分けることはできないと理解し、産業全体を俯瞰する6次産業化へと目を向けるようになります。そうして始まった6次産業化への道ですが、チームメンバーは多岐に渡り、小売・駅ビルの運営や開発に取り組んできた社員や、長年観光に取り組んできた社員、はたまた乗務員経験のある社員まで、本当にさまざまなキャリアの人材が集まり、知恵を出し合っています。6次産業化の推進は「地域のお困りごと解決」でもあり、そのソリューションは決してひとつではありません。地方創生という大仕事には、その分の多様な知見が必要なのです。

活気ある場所は、「目的地」になる。

大前提として、鉄道会社であるJR東日本が、なぜ地域産業の活性化に注力するのか。その根底に流れているのは「鉄道利用の縮小」という問題意識です。少子高齢化、都市への人材流出、安価な輸入品の増加…さまざまな要因から地域産業が衰退すればその地域の資本循環は縮小し、やがては人や街が活気を失って「地域の魅力減少」へとつながるかもしれません。JR東日本が国鉄時代から守り抜いてきた鉄道は、大事なインフラであるとともに「観光」の側面も併せ持っています。目的地がなければ、人は移動しません。通勤通学や通院、日々の欠かせない移動を担うとともに、「ハレの目的地」と人を結ぶことが、インフラとしての鉄道を支えます。だからこそ私たちは地域産業の力になるため、日々あらゆる地域のステークホルダーとの対話を続けています。

命題は、売れるものを
つくること。

「収益を確保すること」と「愛されること」の二人三脚。

産業の活性化に必要不可欠なもの、それは「収益」です。きっちりと成果を挙げ、地域へ還元し循環の輪を拡げることが、真の使命だと考えています。先述のとおり「地域再発見プロジェクト」における3次産業では、「地域のプロダクトと都市ユーザー間のニーズのギャップ」という気づきを得ました。例えば、地域に根付いたお菓子があるとします。地方に多い家族世帯では「買いだめができて、みんなで分け合えるサイズ」=「安くて多い」ものが好まれる一方、単身者の多い都市ユーザーには、「パッケージデザインが良く、食べ切れるもの」が求められます。そのため、「安くて多い」ものは「食べきれないサイズ」として映り、パッケージにもこだわりを見出す傾向があるため、どれだけ美味しいものであっても、こうしたニーズに合わなければ購買に至らないという壁があります。つまり、地域で支持されるものであっても、そのまま都市に持ってくるだけでは売れない、ということです。
 JR東日本ではこのような問題の解決案のひとつとして、都市ユーザーの需要にフィットするよう地域の素材や伝統菓子にリサイズやリデザインなどのプロデュースを行う、オリジナル商品の開発に着手。そこから生まれた「おやつTIMES」はエキナカにとどまらずコンビニや雑貨店でも取り扱われるなど、都市ユーザーのニーズを形にし、受け入れられた成功例と言えます。
 このほかにも、地域の特産品、例えば、りんごや栗を加工して、お酒や菓子の素材を製造するといったファクトリー事業も行っています。
 地域の特産品である「モノ」の適切な価値を見出し、ユーザーとの認識をすり合わせることで、新たな価値を生み出していく。2次産業には、沢山の人から愛されることで収益を確保し、将来にわたって活力のある地域をつくるための、大切なメソッドが詰まっています。

JR東日本のプロデュース

デジタルの活用を通じて、産地をもっと身近な存在へ。

このような学びは、3次産業からも得ることができました。2020年以前私たちの主な販路は首都圏エキナカの「産直市」や「のもの」だったところ、コロナウイルスの蔓延によって産直市は相次いで中止。しかしこれは新たに「“販路”の在り方を捉え直す機会」でもありました。JRE MALLショッピングやJRE MALLふるさと納税、多機能ロッカー「マルチエキューブ」といった、デジタルサービスの拡充で、地域産業や生産者の都市を中心としたユーザーとのタッチポイントを増やし、販路拡大に成功したのです。

地域の魅力と出会える機会の創出や、その先でユーザーの興味をいかにキャッチするか、そして地域そのもののコンテンツ化など、あらゆるアプローチから地域経済の活性化に取り組んでいます。

すべては、人と人との
出会いから始まる。

自分の足で赴き、自分の声で伝える。

人との出会いはオンラインが主流になりつつある現代。それでも私たちは自らの足で地域へ赴き、まずは顔を覚えていただくことから始めています。組織と組織の付き合いではなく、一個人として出会うことで「この人が言うならやってみようかな」と決心いただけるような信頼関係の構築が目標です。特に1次産業の領域では、自分の育てている作物が都市でどれほど高く評価されているか把握していない生産者がほとんど。地元では当たり前のものとして適切な価値が見出されなかったものに対して「あなたのつくる果物には素晴らしい価値があるんですよ」とお伝えする機会でもあり、このようなギャップの溝を埋めることにも力を入れています。
 また、一次産業の課題である「人手不足」に対するアプローチもしています。具体的には、一日農業バイトアプリ「daywork」の仕組みを活用し、労働力が不足している生産者と企業人のボランティアや副業による労働力の提供をマッチさせる取り組みを行っています。これは当社でも副業として認められている新たな地域貢献の取り組みのひとつです。

地方創生においては、鉄道サービスを中心に培ってきたJR東日本グループの知名度や信頼感を武器に、地域のさまざまなステークホルダーの方々と一つひとつを丁寧に、誠実に信頼を積み上げていくことが最も重要なのです。

産業クラスターは、
私益の先で起こる。

青森のGDPを支える、りんご産業の存在。

青森の特産品は数多くあるものの、りんご産業の存在は群を抜いています。実際に県内で生産されたりんごは国内の60%以上を占め(2023年時点)、それにともない多くの雇用が維持されています。私たちはこの青森のりんご事業こそ「守っていかなければならない地域産業」の代表格と考えています。JR東日本が新たに構想したのは、リンゴを発酵させてつくるお酒、シードルづくり。りんごを破砕して醸造するため、些細なキズを原因に生食用で卸せなかったりんごに新たな価値を創出できる、サステナブルな取り組みでもあります。この計画を元に東北新幹線 新青森駅開通のタイミングで青森駅から徒歩2分の立地にシードル工房を併設し、青森の地産品を販売するマルシェ「A-FACTORY」という複合施設が誕生。まさに目的地づくりにも深く通ずるプロジェクトです。さらにこのプロジェクトの発足後、それまで青森県内では数社でしか醸造されていなかったシードルの他社参入が増加し、やがて20社を超える事業者がシードル醸造に参入するほどの盛り上がりへ発展しました。これに伴い、シードルを中心に周辺産業も活性化する「産業クラスター」となり、域内経済の活性化に寄与する結果に。産業が広がることで地域経済の循環へつながった、地方創生におけるまさに理想のモデルケースのひとつとなっています。

シードル工房「A-FACTORY」
複合施設「A-FACTORY」

人と関わる。
場所と関わる。

JR東日本の地方創生は、「関係人口」の創出へ。

6次産業化に取り組み駆け抜けてきた十数年間で、地域に訪れる目的地づくり、産業づくり、くらしづくりを通じて、都市ユーザーに「地域のファン」になってもらうことが、JR東日本らしい地方創生なのだと気づき始めました。このような人と地域の関わり方は、長期的な視点で「交流人口」「関係人口」をつくり出し、結果として、他拠点居住や定住人口の創出など、さまざまな形の地域との「関わり」につながっていきます。このような思想から生まれたプロジェクトが、新たな共創地域づくりである「宝ものプロジェクト」です。
 6次産業化の領域において、私たちは日々「関わり」から物事を推進しています。同じフロアにいる、異なるキャリアの同僚と関わる。遠く離れた地域で、まったく異なる生き方の人と関わる。知見を共有しともに学ぶようなコミュニケーションから従来の枠組みに捉われない、JR東日本グループにしかできない、新たな地方創生の形を創り出していきます。
 個人で完結させず、拓いてゆくことで新たな可能性を見出せる人。そんな学生のみなさんとの出会いを楽しみにしています。

PROJECT STORY その他のプロジェクトストーリー

INTERNSHIP